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フィリピン・ルバング島には、第二次世界大戦終結後も約30年にわたりジャングルで任務を続けたことで知られる、小野田寛郎ゆかりの「オノダトレイル」があります。オノダトレイルは、小野田少尉が実際に移動や潜伏に利用したとされる山道や洞窟をたどるトレッキングコースです。
私は2023年2月に実際にルバング島を訪れ、オノダトレイルを歩いてきました。日本ではなかなか体験できない本格的な密林トレッキングで、戦争の歴史を肌で感じられる貴重な体験となりました。
しかし、訪問前に知っておかないと困ることや、現地ならではの注意点もあります。ガイドの手配方法やアクセス方法など、日本語では情報が少ない部分もありました。
この記事では、私が実際に体験したオノダトレイルの様子を交えながら、行き方や見どころ、訪問前に知っておきたい注意点を詳しく紹介します。
※記事内の料金や情報は2023年2月訪問時点のものです。
ルバング島:行き方
マニラからルバング島へ向かうため、LRTのGil Puyat駅近くにあるDLTBバスターミナルからナスブ(Nasugbu)行きのバスに乗りました。運賃は約200~250ペソ、所要時間は約3~4時間です。
マニラ市内の渋滞を抜けるまでは時間がかかりましたが、その後はのどかな田園風景や海沿いの景色が広がり、思っていたよりも快適なバス旅でした。
ナスブに到着後は、トライシクルでWawa Port(ワワ港)へ移動。ここからルバング島行きのフェリーに乗船します。マニラからルバング島までは少し時間がかかりますが、小野田寛郎ゆかりのオノダトレイルを目指す旅だと思うと、移動時間もワクワクしながら過ごすことができました。

ナスブのWawa Port(ワワ港)に到着後、ルバング島のティリック港(Tilik Port)行きのフェリーに乗船しました。私が利用した当時の料金は440ペソで、所要時間は約2時間でした。
フェリーが港を離れると、目の前には青い海が広がり、マニラの喧騒とはまったく異なる穏やかな景色を楽しむことができます。海風を感じながら過ごしていると、時間はあっという間に過ぎていきました。
しばらくすると、目的地であるルバング島の姿が見えてきます。「いよいよ小野田寛郎さんが約30年間潜伏生活を送った島に上陸するのだ」と思うと、期待と緊張が入り混じった不思議な気持ちになったのを覚えています。
ルバング島の概要
ルバング島は、フィリピン・ルソン島の南西部に位置する島で、ルバング島 に属しています。ミンドロ島の北西にあり、周辺の小さな島々とともにルバング諸島を形成しています。
島の面積は約125平方キロメートル。豊かな自然に囲まれた島で、美しい海岸線や緑あふれる山々が広がっています。住民の多くは農業や漁業に従事しており、都会の喧騒とは無縁のゆったりとした時間が流れています。
実際に訪れてみると、マニラからそれほど遠くないにもかかわらず、まるで別世界のような雰囲気でした。高層ビルや渋滞とは無縁で、のどかな田園風景や素朴な町並みが広がり、どこか懐かしさを感じさせてくれます。
事前準備の重要性
今回のルバング島旅行では、事前の情報収集不足もあり、いくつか予想外の出来事がありました。
まず驚いたのが、ルバング島への船便です。私は毎日運航しているものと思い込んでいましたが、2023年2月の訪問時は往復ともに運航日が限られており、週に1~2回程度の運航でした。そのため、当初予定していたスケジュール通りに移動できず、旅程の変更を余儀なくされました。
次に困ったのが現金事情です。2023年2月訪問時点では島内にATMはなく、両替も米ドル以外は受け付けていませんでした。私はフィリピンペソをあまり持っていなかったため、移動や食事のたびに残金を気にしながら過ごすことになり、大変不便な思いをしました。ルバング島を訪れる際は、滞在に必要な現金を事前に準備しておくことをおすすめします。
また、マニラなどでは当たり前のように見かけるジョリビーなどのチェーン店やジプニーもありませんでした。島内の主な移動手段はトライシクルで、距離によっては料金も決して安くありません。私も気軽に移動できると思っていましたが、実際には移動費が予想以上にかかり、想定していたよりも出費が増えてしまいました。
しかし、そのような不便さも含めてルバング島の魅力だと感じました。観光地化され過ぎていない素朴な雰囲気が残っており、都会の喧騒を離れてゆったりとした時間を過ごすことができます。
これからルバング島を訪れる方は、船の運航日を事前に確認すること、十分なフィリピンペソを持参すること、そして移動費に余裕を持った予算を準備することをおすすめします。
ルバング島へ行く前に準備しておきたいこと
船便のスケジュール確認
ルバング島への船便は運航日や時間が変更されることがあるため、出発前に最新のスケジュールを確認することが重要です。
私が訪れた際も、事前に調べていた情報と実際の運航状況が異なり、予定の変更を余儀なくされました。ナスグブ港とルバング島側のティリック港の両方で、当日の出航予定を電話または現地窓口で確認することをおすすめします。
私が利用した運航会社「Island Water」の連絡先は以下のとおりです。
- +63 (02) 8470-9427
- +63 998 841 3743
※電話番号や運航スケジュールは変更される可能性がありますので、利用前に最新情報をご確認ください。
現金の確保
ルバング島では、2023年2月訪問時点でATMを見つけることができませんでした。そのため、滞在中に必要となるフィリピンペソは事前に準備しておくことが大切です。
宿泊費や食事代だけでなく、トライシクル代やガイド代なども現金で支払うことになるため、余裕を持った金額を持参することをおすすめします。
両替の準備
ルバング島でも両替は可能ですが、私が訪れた際は米ドル以外の通貨は受け付けてもらえませんでした。
そのため、日本円などを持参する場合は、マニラなどの都市部であらかじめフィリピンペソへ両替しておくのが安心です。どうしても現地で両替する可能性がある場合は、米ドルを準備しておくとよいでしょう。
ただし、島内の両替レートは都市部と比べてあまり良くないため、できるだけ出発前に必要な資金を準備しておくことをおすすめします。
オノダトレイ
オノダトレイルを訪れるには、まずルバング町役場(Lubang Municipal Hall)でガイドを手配する必要があります。私もルバング島に到着した日に役場を訪れ、ガイドの手続きを済ませて翌日にオノダトレイルへ向かいました。
トレイルはジャングルの奥深くへ続いており、ルートが分かりにくい場所も多いため、ガイドの同行は必須といえるでしょう。また、ガイドは道案内だけでなく、小野田寛郎少尉が約30年間にわたり潜伏生活を送った当時のエピソードや、島に残る戦争の歴史についても詳しく説明してくれます。
実際にジャングルの中を歩きながら話を聞くことで、書籍や映像では伝わらない臨場感を味わうことができました。オノダトレイルは単なるトレッキングコースではなく、歴史を肌で感じられる貴重な場所だと感じました


ガイドさんと2ショット!




こちらが小野田寛郎少尉が実際に潜伏していたとされる洞窟です。ジャングルの奥深くにひっそりと残されており、実際に目の前に立つと、約30年もの長きにわたり任務を続けた小野田さんの壮絶な生活に思いを馳せずにはいられませんでした。洞窟内部は決して広くなく、この場所で過ごした日々の厳しさを肌で感じることができました。


小塚陸軍一等兵が戦死した場所に建つ「コズカ・シュライン」
ジャングルの奥へ進むと、小塚金七陸軍一等兵が銃撃戦で戦死した場所に建てられた「コズカ・シュライン(Kozuka Shrine)」があります。
小塚金七一等兵は、第二次世界大戦中にフィリピン・ルバング島へ派兵された日本陸軍兵士です。終戦後も日本の降伏を信じることなく、小野田寛郎少尉らとともに島のジャングルで潜伏生活を続けました。
そして昭和47年(1972年)10月19日、現地警察隊との銃撃戦で戦死。終戦から27年が経過した後の出来事であり、「戦後27年目の戦死者」として知られています。
コズカ・シュラインは、その小塚一等兵を慰霊するために建立された祠です。静かなジャングルの中に佇むその姿からは、戦争の悲劇と長きにわたる潜伏生活の過酷さが伝わってきます。実際にこの場所に立つと、歴史の教科書だけでは感じることのできない重みを肌で感じることができました。オノダトレイルを訪れるなら、ぜひ足を止めて手を合わせたい場所の一つです。
まとめ
ルバング島を訪れて最も印象に残ったのは、やはり小野田寛郎少尉の存在でした。
第二次世界大戦終結後も任務解除の命令を受けるまで約29年間にわたり島で潜伏生活を続けた小野田少尉。その歴史の舞台となったルバング島を実際に訪れることで、彼がどれほど長い年月をこの島で過ごし、厳しい環境の中で生き抜いてきたのかをより身近に感じることができました。
オノダトレイルを歩き、彼が身を隠していたとされる洞窟やジャングルを訪れると、その生活の過酷さを実感します。鬱蒼とした森の中は想像以上に険しく、当時の状況を思い浮かべながら歩いていると、単なる観光では味わえない特別な感情が湧いてきました。
また、ガイドから小野田少尉や小塚金七一等兵にまつわるエピソードを聞きながら歩くことで、歴史がより身近なものとして感じられました。教科書や映像では伝わりにくい現地の空気感に触れられたことは、今回の旅の大きな収穫だったと思います。
島の人々にとっても小野田少尉は特別な存在であり、その記憶は今も語り継がれています。現地の方々から話を聞く機会もあり、小野田少尉と島との深い関わりを知ることができました。
もちろん、ルバング島の魅力は歴史だけではありません。美しい海や豊かな自然、そして温かい島の人々との触れ合いも、この島ならではの魅力です。しかし、小野田少尉の足跡をたどることで、この島の景色は単なる南国の風景ではなく、歴史の重みを感じる特別な場所として心に刻まれました。


